【ゆっくり文庫】コナン・ドイル「青い紅玉」 シャーロック・ホームズの冒険

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009 探偵を追え──

クリスマス、落とし物のガチョウの腹から宝石が出てきた。ガチョウはどこで宝石を飲み込んだのか? ホームズは現場にあった帽子を手がかりに調査をはじめた。

原作について

アーサー・コナン・ドイル

アーサー・コナン・ドイル
(1859-1930)

 シャーロック・ホームズについては説明するまでもないだろう。冒険小説もやってみたかったので制作した。私はシャーロック・ホームズが好きで、映像化作品もけっこう見ている。

短くまとめる

 ホームズ56本の短編のうち「青い紅玉」は短い方だけど、ただ読み上げると30分以上になる。ゆっくり文庫は15分前後におさめたいので、推理パートをカットした。ミステリーとしては反則だが、見せたいのはそこじゃないのだ。
 またアルファ・インの聞き込みも削った。ヘンリー・ベイカー氏がホームズの意図を察するシーンを加えたことで、彼の知性が演出できた。
 グラナダテレビ版は逆に尺が足りず、宝石の呪われた逸話やホーナーの事情を描いて尺を稼いでいる。時間が決まっているドラマの脚本は大変だ。

ホームズとワトソンの関係を整理する

 正典のラストは鳥料理を食べておしまい。グラナダテレビ版はホーナーを助けに向かう。デビッド・バーク(声:長門裕之)のワトソンはあまり好きじゃないが、この終わり方はよかった。コヴェントガーデンや留置所に向かうまでのやりとりを、こうあるべきと思うものに差し替えた。グラナダテレビ版とも印象が変わっているだろう。
 正典を読んだとき、ホームズはどうやってジェームズ・ライダーのことを伏せて宝石を返すのだろうと思った。そこを説明しようと脚本を練ったが、あまり意味がないと気づき、ホームズに「適当な説明は考えてある」と言わせるにとどめた。これで十分だった。
 ところどころ、ワトソンが事件の関係者を気遣うシーンを加えた。ホームズにとっては謎解きイベントでしかないが、それぞれに人生があり、ホームズがよい影響を与えたことを、ワトソンが強調している。ホームズという天才を地上に繋ぎ止めているのはワトソンだ。

ボツ案:おまけ

 20分オーバーなので削った。脚本は書いたので残しておく。

スタッフ1 (カット! 終了です)
スタッフ2 (お疲れさまでしたー!)
ワトソン ところでホームズ、
タイトルの「青い紅玉」ってのはおかしくないか?
紅玉(ルビー)が青ければサファイアだ。
ホームズ いいんだよ。
しゃれたタイトルじゃないか。
ワトソン 原題は「Blue Carbuncle」だから、
近ごろは「青いガーネット」、「青い柘榴石」、
「蒼炎石」などと訳されているみたいだね。
ホームズ ややこしい!
いいじゃないか「青い紅玉」で。
宝石の種類はストーリーに関係ない。
ワトソン でも正確に訳したほうがいいだろう?
ホームズ それを言ったら、
原文の「中国のアモイ川」なんて存在しないし、
「40グレインの炭素結晶」じゃダイヤモンドになる。
ワトソン どっちもホームズのセリフじゃないか。
ホームズ ……。
人生はままならないものだよ。

動画制作について

「ホームズを描くなら、鹿撃ち帽とパイプがほしい!」
 しかし、いい素材が見つからない。動画制作は無理かと思ったが、なくてもなんとかなった。半眼閉じた霊夢がなんとなくホームズに見えるのは、制作者のひいき目だろうか。
 ワトソンはまったく捜査に関与せず、背景のようにいるだけだが、けっこう絵になった。霊夢ホームズと魔理沙ワトソンの組み合わせはばっちりだった。シリーズ化したくなる。うずうず。
 帽子が脱げるヘンリー・ベイカー氏をどうするかも懸案だったが、てんこ(比那名居天子)の帽子が着脱可能だったので解決。犯人のジェームズ・ライダーは安定のきめぇ丸。こんな役ばっかり。仲買人のこーりんもいい配役だった。常識的なキャスティングに見えるかもしれないが、製作時はけっこう悩まされる。
 今回はじめて版権のある楽曲(グラナダTV版シャーロック・ホームズの冒険のテーマ)を使った。権利問題は面倒だから避けたいけど、この曲だけはどうしても使いたかった。
 次回は森鴎外の「高瀬舟」をお届けする予定。


The Adventure of the Blue Carbuncle (1892) by Arthur Conan Doyle

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