《 だ る ま さ ん が こ ろ ん だ ! 》
気がつくと、新しい建物がたっていた。本日オープンらしい。
──本日オープン?
その前はなんだっけ? この場所にあったのは……。
新しい店なのはわかる。しかし、その前が思い出せない。
同僚に訊くと、飯屋があったという。
「あぁ、そうだ。あったあった。何度か食べに来たっけ……」
足しげく通っていたのに、思い出せなかった。同僚はいう。
「仕方ないよ。
だれの目にも映らないから、その店は衰れていく。
だれの目にも映らないから、ツブれても気がつかない。
そんなもんサ。」
──そんなものかもしれない。
《 だ る ま さ ん が こ ろ ん だ ! 》
また新しい建物だ。
いつの間に、こんな大きなビルを建てたんだ?
数ヶ月は工事していたはず。
そのあいだ、ここを通ったはずなのに……。
《 だ る ま さ ん が こ ろ ん だ ! 》
今度は工事中で気づいた。工事してるじゃないか!
えとえとえと……。
そうだ。駐車場だ。ここは駐車場だった!
《 だ る ま さ ん が こ ろ ん だ ! 》
はっと我に返る。なんだ? 空がない。
あそこにあった空が消えて、ビルが生えている。
なにあれ? まるでマットペインティングみたい。
あんなに大きなビル、いつ建ったの?
《 だ る ま さ ん が こ ろ ん だ ! 》
《 だ る ま さ ん が こ ろ ん だ ! 》
《 だ る ま さ ん が こ ろ ん だ ! 》
──どんどん変わっていく。早すぎる。
変わっていることに、気づかない。
見ているはずなのに、気づかない。思い出せない。
すり替えられてしまう。白昼堂々と!!
《 だ る ま さ ん が こ ろ ん だ ! 》
また、どこかで、なにかが、すり替わったようだ。
どれだけの人が気づいただろうか?