デジタルは永遠の輝きか?

2004年 科技 物欲
デジタルは永遠の輝きか?

アナログとデジタルの違いとして「経年劣化がない」ことが挙げられる。

なるほど、そのとおりだと思うことは多い。
中学時代に撮った写真は早くも色あせ、めちゃめちゃ気に入っていたビデオテープはノイズの嵐。土産物やプレゼントなど、思い出の品々は脆くも欠けたり、壊れたりしている。
時の流れの無情さに、ついつい感傷的になってしまう夜もある。

では、デジタルは永遠の輝きか? 答えはノーだ!

デジタルは失われる。それも、あっさりと。そこに存在していたという痕跡さえ残さない。修復したら元に戻るかも...という望みすらない。

文明のあとに遺跡が...
殺人のあとに死体が...
生活のあとにゴミが...
引き潮のあとに水たまりが...
彼女が去ったあとに残り香が...
トイレの便座に温もりが...

デジタルには、こうした余韻みたいなものがない。
確実に存在し(1)、確実に失われる(0)。
まぁ、それこそがデジタルなわけなんだけどね。

では、コミュニケーションはどうだろう?
デジタルなコミュニケーションも失われる。それも、あっさりと。確かにそこに存在していた...という痕跡さえ残さない。修復したら元に戻るかも...という望みすらない。もしかすると、思い出さえ残らないかもしれない。思い出すための「よすが」が乏しいから。

もしかすると私たちは、アナログでコミュニケーションしているときよりも多くのものを失っているのかもしれない。そうとは気づかないまま。

──諸行無常。
しかし、そこに違和感と覚え、抵抗するのもまた、人間の性だと信じる。