ハプン

2004年 哲学
ハプン

──犬も歩けば棒に当たる。
よく出歩く人は、よくトラブルに遭遇する。
トラブルが多い人は、活発に行動する人だと言える(ちと極論だが)。

「七輪を使ったら、火災報知器が鳴った」
「コメントを書き込んだら、論争になった」
「落ち込んでいる人に声をかけたら、泥沼になった」

こんな話をすると、多くの人はこういう。
「そんなこと、しなければよかったのに(馬鹿ね)」

後半の()はそのとおりなんだけど、前半はちがう。
たしかに、部屋でじっとしていれば、トラブルには遭わない。
(なにもしない。なにも起こらない。なにも考えない……)
これじゃ、意味もない。

トラブルはイヤだし、回避したい。
だからといって、活動も停止できない。
よくよく考えて行動しているつもりだけど、どっちと問われれば「行動」が優先される。考える方が先だと、行動が鈍くなってしまうから。
ほぼ毎日、自分を悔やみながら布団に潜っているのに、出歩くことはやめられない。注意はしているけど、昨日とちがう行動によって、昨日とちがうトラブルに遭遇する。

取り返しのつかない大きな不幸は、泣くしかない。
注意不足で起こった小さなミスは、謝るしかない。
それ以外の(自分が被害者である)トラブルは、むしろハッピーだと思うことにしている。
トラブルによって気づき、考える自分が生じるから。

ハッピーの語源は「ハプン(生じる)」。
その連続で「ハプニング(出来事)」なのだから。

※写真は取り返しのつかない例。

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