ウソつき
2004年 哲学昨日の日記で、友人A2のことを思い出した。
この数年あっていない。私が知るかぎり、A2はもっとも「ウソつき」な人物である。
◎
A2は、オタクだ。かなりヤバイ属性のオタクだ。Eは特撮マニアだったが、A2はモロだ。彼の部屋にあるグッズをみたら、気の弱い人なら昏倒してしまうだろう。
──しかし、A2の外見は至ってふつうだ。ふつうの若者に見られるよう、工夫(偽装)しているのだ。そこには、想像を絶する努力があった。
- 太らないようダイエットし、清潔や身繕いに心がける。
- 夏にはプールに行って肌を焼き、見えるところだけ鍛えておく。
- それっぽい本やグッズは、自分の生活圏や通勤経路上では買わない。
- ドラマやスポーツの話ができるよう、勉強しておく。
- オタクな話題をふられても、知らないふりをする。←これ、すごく上手!
まるでスパイ訓練のようだ。
──もう1度いう。A2の外見は至ってふつうだ。会話もふつうだ。私だって、ちょっとした誤解がなければ、A2と親しくなることはなかった。
◎
そんなA2に惚れる女の子が登場した。A2は喜び、ますます熱心に勉強した。交際がはじまった。もちろん、ヤバイ趣味はひたすら隠しとおしたままだ。
一時期は、A2にも疲労の色も見えた。会社、趣味、スパイ訓練。さらには彼女の「傾向と対策」だ。3人くらいの女性と掛け持ちするような厳しさがある。
(長くは保つまい。ついに趣味が捨てられるのか……)
と私は思った。
しかしA2は逃げなかった。頭脳をフル回転させて、すべてを並行充実させる道を選んだ。実際、よくやっていたと思う。
そんなA2の努力を、彼女は知らない。A2が隠し事をしていることにさえ、気づいていない。これを、相思相愛といえるのだろうか?
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その後、2人の交際がどうなったのかは知らない。
──A2を否定するのは簡単だ。しかし誰だって、好きな人には自分のいい部分を見せたい。恥ずかしいところは隠したい。でも、好きなことはやめたくない。犠牲にしたくない。
ある意味、A2は立派だと思う。
しかしそれでも、「ウソつき」は長持ちしない。だから私は、開けっぴろげの「ホントつき」になったわけだ。
……どっちも駄目かな?