真実はそこにある

2004年 哲学
真実はそこにある

コトの発端は、テレビでやってた"恋愛ドラマ"だった。

──3年間、ずっと片思いだったヒロインが、主人公に告白。なんとなく交際がはじまるのだが、ヒロインは不安になって質問。
「ねぇ、私のことを好き?」
主人公は戸惑うものの、「好きだ」と答えてしまう。

このシーンを見ていて、私は言った。

「これってズルイよなぁ。
 彼女は主人公を3年間も見てきて、どんな人物か知っている。
 一方、彼氏には、そんな時間も余裕もない。これじゃ、答えようがない。
 "わからない"というのがホントなのに、なかば脅迫されて、
 "好き"とかいうから、ややこしいことになるんだよ」

すると、妻が言った。
「そこで、ホントのことを言っちゃ駄目なの!
 女の子が傷つくでしょ! つらいのよ!」
「はぁ? じゃ、ウソをつけというのかよ」と私。
「"ウソつき"は駄目。
 そもそも旦那さんは、"ホントつき"なのよ!」

──わけがわからない。

このことを日記に書いてから、あれこれ論議があった。妻は、だいぶ前から(結婚前から)私の率直さに戸惑っていたらしい。で、下記のような展開になった。

妻「旦那さんは率直すぎる。
  たとえば浮気したら、その日のうちに
  "今日、○×ちゃんと浮気してきた"って、しゃべっちゃうでしょ」
私「うーん。そうかもしれん」
妻「そこがイヤなの」
私「じゃ、どうしろと?」
妻「浮気してもいいけどウソは駄目。だから隠してほしい」
私「……。
  たとえば1ヶ月後に、"あの晩はなにしてたの"と質問されたら?」
妻「そのときは正直に答えてほしい……」
私「マジすか!
  "あぁ、その日は浮気していたんだ"って答えるのかよ」
妻「うん」
私「それで、怒らない?」
妻「……怒る」
私「当日に話した場合と比べて、どうなの?」
妻「時間が経っているほど、怒ると思う。騙されたと思う。」
私「騙してないジャン!!」
妻「浮気しなければいいのよ」
私「……さっき、浮気してもいいって言ったじゃないか」
妻「してもいいけど、しちゃ駄目なの」

このあと、どうやって場を納めたかは、夫婦の秘密とする。

ウソも、バレなければホントになる。
ホントも、信じてもらえなければウソになる。

──ホントかウソか。
その答えは、向かい合う相手の中にある。
まず、相手が望むように答える。
しかるのち、現実をそれに合わせる。

思えば、妻はすでに、それが可能であることを証明している。
……アレコレ考えるのは、なんだか馬鹿らしくなってきた。

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