振り返れば奴がいる

2004年 生活 mixi
振り返れば奴がいる

車を運転している人なら、わかってくれると思う。
誰もいない道を走るのは、あんがいツライ。
自分と併走する車がいないと、いろんな感覚が狂ってしまうのだ。

──とりわけ深夜の高速道路はヤバイ。

背後から煽られたり、前の車がふらついたりすると、ムカッとくる。
(邪魔だ! 危ない! どいてくれぇ!)
神経を尖らせて、アクセルワークを駆使する。
(自分だけの高速道路ならいいのに……)
と思ったりもする。

ところが、まれに車線から車の影が消えることがある。
はるか前方まで、なにもいない。バックミラーも真っ暗。
スピードを出そうと落とそうと自由だ。
こうなると、思うぞんぶんドライブを楽しめる。

……はずなんだけど、そうでもない。

併走する車がいないと、距離感やスピード感が失われる。
集中力も途切れがちになる。
ひどい場合は、現実感さえ喪失する。
非常にヤバイので、さっさとPAに入ってしまう。

安全運転のためにも、併走する車がいた方がいい。
そしてたぶん、人生にも同じことがいえる。