浪漫市場
2005年 生活 旅行浪漫泥棒のつづき。
──先日、ちょっと大きめのデパートに出かけた。
私にとっては適当な食材調達なので、ぼんやりしながらカートを押していた。カートの周辺を、妻がウロチョロしている。ハシャいでいるようだ。
で、なにげなく冷凍食品コーナーをみてみたら……すごいのね。
地方の特産品がずらーり揃っているんでやんの。
ずんだ餅、チーズ、ソフトクリーム、鶏、豆腐、湯葉、こんにゃく、海老……。
冷凍技術、輸送技術の進歩によって、日本中の、いや世界中の特産物が一堂に会していた。
「妻にとっては、こっちの方が浪漫だよ♪」
後頭部を殴られたようなショックだった。
(なんてこった! ここは、浪漫市場だったのか……)
旅先にしかないと思っていた浪漫が、こんな身近なところにあったなんて! わざわざ旅行するまでもない。たった数歩で世界中の特産物を手に入れられるのだ。
ひるがえってみると、旅先の特産物は問題点が多い。
高いし、重いし、かさばるし、冷凍できないし……。
旅先では温めたり、塩をかけることさえ難しい。
しかしここなら、すぐに持ち帰れるし、いくらでも調理できる。
◎
家に帰って食事にする。
フィリピン産のバナナ、秋田県産の発芽玄米、宮城県産のみそ、福島県産のしいたけ、鹿児島県産のきぬさや、北海道産のたまねぎ、オーストラリア産の豚肉、愛知県産のキャベツ……。
なんてこった!
ふだんの食卓には、浪漫があふれていた!
※写真と本文は関係ありません。