王様の耳はロバの耳
2005年 社会昼間、お城で王様の散髪をした。
すると、王様の耳はロバの耳だった。
「バラしたら処刑するぞ」王様はこわい顔で言った。
「ぜぜぜ、絶対に言いません!」私は激しく首をふって約束した。
──でも、言いたい。
王様の耳はロバの耳。
王様の耳はロバの耳。
王様の耳はロバの耳。
とんでもないものを見てしまった。まさかそんな……信じられない。
あぁ、みんなに話したい。この衝撃をわかちあいたい。
──でも、言えない。
具体的なことは、いっさい言えない。言えば処刑される。
待てよ……。
国や王様の名前を伏せればバレないかも……。実在の組織や人物を連想されないよう、抽象的に語るんだ。それなら大丈夫だろう。
N部長は、パートのJ子に一目惚れ。むりやり採用して、しかも企画室勤務にした。でも、J子に企画書など書けるはずがない。そこで、部外者の私が代書することに。これだけ尽くしているのに、J子には彼氏がいて、N部長の悪口を陰で言いふらしている……
このくらい抽象的に書けば、大丈夫だろう。