[ゲーム] 零 刺青の聲 / 再構築プラン

2005年 娯楽 ゲーム
[ゲーム] 零 刺青の聲 / 再構築プラン

第3作は期待していただけに、失望は大きかった。
しかし、ただ文句を言うだけではツマラナイ。
どうしてほしかったかをまとめてみようと思う。

ネタバレになるので、文字は伏せておく。
零3をプレイして、エンディング1&2を見ていて、かつ興味がある人は、文字を選択して読んでください。
まぁ、本当にメモ程度だけどね。

1.全体の動機付け

零1では兄を救うこと、零2では村から脱出することがテーマだった。これに相当するものが零3にはない。
浸食していく刺青を取り除きたいのか、死別した婚約者と再会したいのか? いずれにせよ、眠りの家の中枢に突入すれば解決するとは思えない。そう思えるだけの根拠が演出がない。
「この悪夢を終わらせるためには、優雨に逢わなければならない!」
これが揺るぎないテーマとしてあるなら、そう断言してほしかった。
※玲はずっと無表情なので、生き残りたいのかどうかも不明だ。
※実際には優雨にあっても解決しないので、だましになる。

2.案内役

零1では、霧絵の分身である「和服の少女」が、自分を止めてもらうために深紅を誘導した。
零2では、生け贄たちの魂である「紅い蝶」が、儀式を完成させるために澪たちを招き寄せた。
どちらも、強力な存在であり、納得できる理由があった。
零3の案内役は「優雨」になるのだが、どうにも存在感がない。なぜ優雨なのか、どうして玲を招くのか、サッパリわからん。ときおり「巫女姿の少女」が道を示すけど、これも混乱が増すばかりだ。
「優雨が私を導いてくれる。優雨がそばにいてくれる。」
優雨を案内役にするなら、このくらいは言ってほしい。
※優雨にそれだけの霊力があるとは思えないが。

3.元凶

零1では、怨念が連鎖して、堆積して、霧絵を依代に顕現していた。
零2では、儀式の失敗によって虚が開放されてしまった。
零3の元凶はなんだったのだろう?
刺青の巫女(零華)の目の前で愛する人が死んだから? でも、封印(刺青木)は解けていなかった。
そもそも、なんのための儀式かも判然としない。
※このあたりは、致命的に不明瞭だ。

4.主人公の必然性

零1の深紅は、宿命的に霧絵を救える唯一の存在だった。
零2の澪と繭は、双子であるがゆえに招かれた。
零3の玲は、なぜ眠りの家に取り込まれたのだろうか? 深紅にも、蛍にも、同じことが言える。この3人に共通することはなんだろう?
たとえば、優雨が招き寄せたのならわかる。というか、優雨くらいしか共通点がない。
※自分の婚約者、友人の妹、友人を危険にさらすのは好ましくないけどね。

5.世界観の共有

今作では、零1と零2の世界とつながっているが、どうにも消化不良だ。
「縄の巫女」や「楔」が平気な顔して登場するけど、これじゃ真冬や繭も浮かばれない。
それともコイツらは再生怪人なのだろうか? だとしたら、誰が再生しているのか?
つまり、眠りの家という夢を見ている元凶がないと、つじつまが合わない。
「刺青の巫女」が「縄の巫女」や「楔」の夢を見るのはおかしい。
※今作で眠りの家は解消されたのだろうか?

6.未消化フラグ

なぜ、玲と深紅にだけ刺青が現れるのか?
なぜ、優雨は刺青を吸収できるのか?
なぜ、蛍には刺青が出ていないのに、煤になってしまったのか?
なぜ、玲と深紅は夢の話をしないのか?
なぜ、玲の家には幽霊が巣くっているのか?
なぜ、蛍は命をかけてまで澪を救おうとするのか?

──考えれば考えるほど、わからない。
オーソドックスにまとめるなら、やはり優雨がキーパーソンだ。
眠りの家とリンクしてしまった優雨が、3人を呼び寄せて、なにかをさせようとしている。つまり、眠りの家を閉ざそうとしているという話ならわかる。

しかしそれでは、物足りない。
そこで、玲こそが元凶だと考えてみる。
優雨は、単身で眠りの家を探索して、零華を封印した。が、その魂魄は現世にとどまり、玲として顕現する。つまり、玲と零華は同一人物なのだ。
本来なら、この状態で安定して、優雨と暮らしていくはずだった。

ところが事故で優雨が死んだ。
このときのショックで、零華の狂気が覚醒。眠りの家が現実世界を浸食しはじめる。
零華(玲)を愛していた優雨は成仏できず、玲を眠りの家へと呼び寄せ、真相を伝えようとする。そして、玲をふたたび封印するために、深紅と蛍も招き入れた。

最後のボスは、玲。
思いっきりレベルアップした玲を、深紅と蛍で協力して倒す。
……という展開を期待してしまった。

ともかく、今作はまとまりがなかった。
資料を読んで、がんばって推理したのに、まるで意味がなかった。
玲は美女だけど、性格が希薄すぎて感情移入できないッス。
なんの描写もない優雨がエンディングでなにを言っても、感動できないよ。
ゲームを作った方々も、時間や人員に制約があったとは思う。しかし、もうちっとストーリーは大切にしてほしかった。