政治の楽しみ方

2005年 政治・経済 政治
政治の楽しみ方

X先輩は、きわめて偏った人物である。

アナーキスト(無政府主義者)のように見えるが、政治への関心は強い。しかし、その見方はちょっと変わっている。
「政治は、すべからくパフォーマンスなんだよ。」
「どういう意味です?」
考えて答えが出るような問題は、政治で扱う必要がない
 根拠も実態もないことを、どうにかするのが政治なんだ。」

X先輩は、政治そのものより、政治手法ばかり見ていたように思う。あざといもの、派手なものほど喜んでいた。X先輩にとって政治は、完全に娯楽なのだ。
X先輩がアナーキストと呼ばれるゆえんである(本人は否定しているが)。

戦争やテロなどの大ニュースがあると、X先輩は新聞を買いまくる。
“社説を読み比べる"という楽しみ方を教えてくれたのもX先輩だった。たしかに、同じ事件でも新聞社によって解釈がちがった。それも“政治的に"ちがうのだ。

「新聞社にも政治思想はある。
 TV局や出版社、レポーター、芸能人、大学の教授にもある。なにに注目して、なにをスルーさせるか。情報には発信者の意志が介在するし、パフォーマンスだって含まれる。純粋な事実などない。そーゆーもんだと知っていれば、どうということはない。」

X先輩の目には、社会はどう映っているのだろう。科学以外のすべてがパフォーマンスだと言い切る世の中に、どんな希望を見いだしているのだろう。

「……あるいは、おれたちにそう思わせるための罠か?」
口癖というわけではないが、X先輩が気に入っていたセリフの1つだ。