濃縮還元

2005年 哲学
濃縮還元

トワイライトゾーンはSFに分類される。

しかし観てみれば、これのどこがSFなのだと首をひねるだろう。
とにかく破天荒なのだ。
奇妙な事件が起きても、その原因も結果も明らかにされない。ただ、そこにいた人間たちの心の動きだけがクローズアップされていく。そして世界は急速にその輪郭を失い、闇に呑まれていく。

トワイライトゾーンとはよく言ったものだ。
昼でも夜でもない。SFでもオカルトでもない。まさしく黄昏の領域なのだ。

──こんな作品を書いてみたい
そう思って、たくさんの短編を書き散らかしてきた。
断っておくと、私のショートショートを読んでも、本家『トワイライトゾーン』を想像するヒントにはならない。『トワイライトゾーン』はもっとすごい。

とはいえ、まったく同じ型を使おうとは思っていない。
多くの亜種がそれで失敗しているし、今の時代に『トワイライトゾーン』を観ても、感動はないかもしれない。今の世の中は、“答え"が氾濫しすぎている。だから、“答え"をスタート地点に据えて考えなければならない。
抽象的だが、なんとなくそう思っている。

私はSFやオカルトを書きたいわけではない。
異常な事件に遭遇した人間の葛藤を描きたいのだ。
異常な事件とは、日常的な事件をデフォルメしたものである。
つまり私は、日常生活における心の動きを描きたいのだとも言える。

そう考えると、日記とショートショートに大きな差はない。

ショートショートは、私の日記を熟成させたものだと言える。
だから、ショートショートを水に溶くと、ふたたび私の日記が出てくるかもしれないが、これはまぁ勘弁してほしい。
みなさんは、私のアイデアメモを読んでいるのだから。

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