だまされないぞ
2005年 政治・経済 物欲保険のセールスマンがやってくる。
彼らはとても熱心だ。暑い日も寒い日も、大きな鞄をもって東奔西走、南船北馬している。
で、クチを開けば保険のことばかり……というわけでもない。
「人生設計をいっしょに考えましょう。
保険の仕組みを理解してほしい。
私は、商品を売って終わりじゃなくて、
人生設計のコンサルティングパートナーになりたい。」
と言う。
なぜ、そんなに熱心なのか?
とどのつまり、保険契約を取りたいのだろう。契約できれば、こんな手間など吹き飛ぶくらいのマージンが手に入るのだ。一見、こちらに都合よく見えても、実際には保険会社がトクするようになっている。そうでなければ、わざわざ話しかけてくるはずがない。
だまされないぞ!
……と、多くの人は考えるだろうと、保険のセールスマンは言う。
「若い人たちは猜疑心が強くて、話を聞いてもらえない。
その一方で、若い人たちも事故や病気、災害、老後のことは気にしている。なにかが必要だと、漠然と感じている。
しかし保険の仕組みは複雑で、独力では勉強しづらい。それに、書籍やサイト、テレビ番組にもウソがあると感じるから、どこから学んでいいかもわからない。
これでは、だまされないかもしれないが、問題解決にもなりません。」
なるほどなぁ、と思う。
「だから、うちの商品を買ってくれなくてもいい。私の話が人生設計を考えるキッカケになってくれれば、それでいいんです。」
とセールスマンは言う。
たしかになぁ。
不安に駆られて、よけいな保険に入るのは馬鹿だけど、不安から目をそらしつづけるのも馬鹿だ。なんでも自分で調べられればいいが、専門家の意見に耳を傾けることも必要だろう。
だがしかし……だまされないぞ!