番組の食べ放題

2005年 娯楽 テレビを消そう メディア規格
番組の食べ放題

CATV(ケーブルテレビ)を解約した。

導入から4年の歳月が経過していた。5年前、私は友人宅でCATVを見た。海外ドラマや映画、懐かしのアニメや特撮などが、数十におよぶチャンネルで放映されていた。どれも、見たかったけど時間やお金をかけられず、見送っていた番組ばかりだ。

CATVは、同じ番組を繰り返し放送する。だから1回見逃しても、2回目、3回目の放送でキャッチアップできる。つい予約しそこねたり、裏番組と重なっても心配ない。すべてのチャンスを見逃しても、数年のうちにまた再放送される。CATVは番組がわき出る泉のようなものだった。
結婚して引っ越しするとき、私はCATVをひける住居を探した。そして、ついに導入されたのである。

最初の1~2年は、すごく楽しめた。たとえるなら、食べ放題の回転寿司みたいなもの。次から次へと流れてくる番組を、手当たり次第にチェックする。すごく見たかった番組はもちろん、ちょっと見てみたかった番組も拾っていく。とはいえ、ちょっと見てみたかった番組なんて星の数ほどある。とても全部は食べられない。しかし見逃しても気にしない。また、チャンスは来るだろうから。

3年目あたりから、さっぱり見なくなった。毎月の番組表も、見ないまま捨てちゃうことが増えた。たまーにテレビをつけて、やっていたものを見るだけ。完全に飽きてしまったようだ。

CATVの費用は、月々3,129円。年間だと37,548円。これだけあれば、レンタルビデオを何本借りられるだろう? DVDタイトルを何本買えるだろう? 映画館には何回行けるだろう? どうでもいい番組が見放題であることに比べて、どっちがオトクなのだろう?

食べ放題や見放題は、ものの価値を下げてしまう
すごく見たかった番組も、友だちから無料で借りてしまうと見なくなるのと同じだ。これじゃ駄目だ。

というわけでCATVはいったん解約した。まずは、借りているものを見てしまおう。話はそれからだ。