テレビの効果、自分の評価
2005年 娯楽 旅行私は食べること、出歩くことが好きだ。
なので、そういう番組をよく見る。
ぜんぜん知らないタレントが、どこかの地方を旅している。名所を訪れ、温泉につかり、食事を楽しむ。いつしか家族や親子の絆も深まったり……。
本当によくある番組構成だ。
ふと、テレビから「美味しい♪」という声が聞こえてくる。
ふりむくとタレントが料理を食べている。
「へぇ、めちゃめちゃウマそうだな。どこの店だろう?」
と思って見ていると、すでに行ったことのある店だった。
「な、なんだよ! この料理は食べたことあるよ~。
そんなに美味しくなかったぞ!」
自分の評価とのギャップに衝撃を受ける。
◎
テレビや雑誌で知った店に行くことは多い。
期待したほど美味しくなくても、妙に納得してしまう。先入観が、実際の評価を底上げしてしまうからだ。
これはこれで、ハッピーな展開である。
だが、逆のパターンはつらい。
自分が食べた料理……それも「好ましくない」と評価した料理がテレビや雑誌で紹介されると、自分の信念がゆらぐ。
(う、うそだ。騒ぐほどの感動はなかった!
でも、こうして見るとウマそうだな。
まぁ、まるで駄目ってわけじゃないし、こうして覚えているくらいだから、それなりに印象的だったわけで……つまり、美味しかったと言えなくもないような……)
ぶんぶんと頭を振る。
(テレビに影響されるな!
彼らは、なにを食べても「うまー♪」というしかないのだ。
あの料理はまずかった。駄目だったんだ!
私は駄目な料理を食べたんだ!)
これはこれで、アンハッピーな展開かもしれない。