メイドへの対応
2005年 娯楽「この世は舞台、人間はみな役者である」といったのは誰だったか。
私たちは、その時々の状況に応じた「役」を演じている。自分が演ずるべき「役」がわからないとき、人はとまどいを覚えるようだ。
「いらっしゃいませ~♪」とメイドさんたちが一斉にかしずく。「あ、どうも」と、私は答えた。どう答えるのがふつうなんだろう?
ふつうはなにも答えない。答えるとしても「2名です」といった程度だ。「なにか挨拶しなくちゃ」と思った時点でどうかしている。コスチュームの力はすさまじい。
相手が本物のメイドであれば、無視できるかもしれない。
そもそもメイド服は、よけいな注目を集めないようにデザインされている。本物のメイドであれば、そこにいることさえ気づかせないだろう。
だが、メイド喫茶にいるのは、メイドでもウェイトレスでもない。
「メイドの格好をした女性」だ。
こーゆー状況での対応パターンは、私の脳に入力されていない。だから、困惑してしまうのだろう。
◎
では、どんな「役」を演じたいのか?私が期待するメイド喫茶はこんな感じ。
私は仕事をしている。
ふと気づくと、コーヒーが湯気を立てている。
メイドの気配はすれでも、姿はない。
当たり前のようにコーヒーをすすり、私は仕事をつづける。
これだよ! これこそ純メイド喫茶じゃないか!
……だめ?