効力感の天使

2006年 政治・経済
効力感の天使

無力感の反対は、効力感という。

効力感とは、自分が世界に影響を与えていると実感すること
なにかをしたときに、手応えがある、評価が出る、点数が増える、記録が残る、視界が変わる……こうしたリアクションが効力感を生む。

効力感がないと、人間はとたんにやる気を失う。
たとえば、まったくビクともしない岩を押しつづけるのはツライ。だけど、グラッと揺れたりすれば、「がんばってみよう」と思える。ズズッと動いたように見えると、「もっと力を込めよう」と鼻息も荒くなる。
適度な反応を得ることで、人間のやる気は高まっていくわけだ

もちろん、あっさり動いちゃうのは駄目。
ゲームと同じで、簡単すぎると楽しめない。それなりの障害や抵抗がないと、効力感は得られない。

マンネリ化しても駄目。
グラッと揺れることが予測できたり、同じパターンの繰り返しになると、すぐ飽きてしまう。グラッ、ズズッ、ズッ、ズーッ、グググ、グッ……というように、毎回ちょっとずつ反応が違うことが望ましい。

反応が予測できないのも駄目。
岩を押すと「いやん!」と声がしたり、脈絡なく「チョコレートをあげよう」とか言われると混乱してしまう。自分の努力と結果の因果関係がわからないと、効力感は発生しない。

ただ反応すればいいと言うわけじゃないのだ。

「効力感の天使」がいる。

天使は、人間の効力感を自在に引き出せるようだ。
むっつりしたり、にっこりしたり、その反応は千変万化。突拍子もない発言もあるけれど、混乱するほどじゃない。むしろ、どんな顔をするのか見たくて、ついつい頑張ってしまう。頑張りすぎてしまう。

驚いたり、怒ったり、喜んだり、泣いたり……。
その表情を見るだけで苦労は報われる。
次のパワーとアイデアが湧いてくる。
(ただ相づちを打つだけで、ここまで人をやる気にさせるのか……)
もっと反応させたい! もっと喜ばせたい!


そんな天使が心の中にいれば、独りでもがんばれるさ。

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