生き残り頭脳ゲーム
2006年 政治・経済 思考実験 海外10人のインディアンが平和に暮らしていた。
そこに白人がやってきて、ホットドックを売りはじめた。
ホットドックは不衛生だったので、1人が食中毒で死んだ。
残った9人は大騒ぎして、白人を批難した。
白人は非を認めず、「非科学的な言いがかり」と取り合わない。
これ以上ケンカしても仕方がないので、インディアンは白人を許した。
ホットドックの販売が再開された。
また1人が食中毒で死んだ。
残った8人は大騒ぎして、白人を批難した。
白人は非を認めて、謝罪。安全検査基準に共同合意して、監査機関を設置。「絶対安全な食の提供」を約束した。
これ以上ケンカしても仕方がないので、インディアンは白人を許した。
ホットドックの販売が再開された。
また1人が食中毒で死んだ。
残った7人は大騒ぎして、白人を批難した。
ホットドックの販売は永久に禁止された。
これ以上ケンカしても仕方がないので、インディアンは白人を許した。
今度はハンバーガーが販売されるようになった。
ところがこれも不衛生だったので、また1人が食中毒で死んだ。
残った6人は大騒ぎして、白人を批難した。
すると白人は、あっさり出て行ってしまった。インディアンの数が減って、市場としての魅力がなくなったからだ。
白人は別の土地に移って、同じ商売をはじめた。
残されたインディアンたちはケンカをはじめた。
「どうして白人を追い出したんだ!
もう、ホットドックもハンバーガーも食べられない!
ちゃんとチェックしなかった政府の怠慢じゃないのか?」
そこへ中国人がやってきて、餃子を売りはじめた。
インディアンたちは、新しい味の到来を喜んだ。
そして……。
◎
数年後、インディアンは2人になっていた。
1人は村長だった。
彼は仲介によって財をなし、取引相手から多くの情報を仕入れていた。だから村長は、危険なホットドックやハンバーガーを食べなかった。ちょっと高い金を払って、より安全な食品に切り替えていたのである。
経済力によって、食の安全を確保したわけだ。
もう1人、生き残りがいた。
どんな人物だったかは、想像にお任せしよう。