妹喫茶の真剣勝負

2006年 政治・経済 日常 男と女
妹喫茶の真剣勝負

今夜は妹喫茶に行ってきた。

なべぇるさん宅に大量の干し芋が届いたらしい。
食べきれないので、分けてくれるという。
で、その受け渡し場所に指定されたのは、なぜか秋葉原の妹(いもうと)喫茶だった。

目的は芋であって、妹ではないのだが……これも経験か。
集まったのはなべぇるさん、SNAさん、らいねさん、私の4人だった。

妹喫茶とは、メイド喫茶の亜種。
お客を「ご主人様」と呼び、最大限の敬意を払うのがメイド喫茶。
お客を「お兄ちゃん」と呼び、タメ口でぞんざいに扱うのが妹喫茶である。
それはもう、すンごいところだった。

「おかえりー、お兄ちゃん」
「なんにする? 決まった?」
「これなんかどう?」
「うん、わかったよ」

うはぁ、ホントにタメ口ですよ。
タメ口で女性(店員)と話すというシチュエーションが新鮮というか、特殊というか、とにかくインパクトが強かった。

しかも彼女たちは、一歩踏み込んだツッコミを仕掛けてくる。
気の利いた、ちょっと間抜けな会話。
単にメイド服を着ただけの女の子にはできない芸当である。
修辞ではなく、まさに妹のプロというわけだ。

もちろん、こんな風に話す妹など存在しない。
しかしリアルかどうかは問題じゃない。これは一種のお芝居みたいなもんだ
こちらも“お兄ちゃん”になりきらないと、間がもたない。

──だが、なりきるのは容易じゃない。

SNAさんはすっかり雰囲気に呑まれていた。
油の切れたロボットのようにカクカク動き、痛々しいほど言葉に詰まっていた。

初対面のらいねさんは、逆に雰囲気になじんでいた。
ちょっと意地悪なお姉さまとして君臨する。これほどノリのいい方とは思わなかった。

仕掛け人のなべぇるさんは、一歩退いて楽しんでいた。
妹と直接会話するより、その様子をチラチラ見るのがイイらしい。

そして私も、お兄ちゃんになりきれなかった
いや無理だよ。即興で演じられるほど甘くないッス。

妹勝負には敗れたが、干し芋はゲットできた。

これでまぁ、よしとしよう。