厨を尽くせ
2007年 政治・経済 考え事国や企業に忠義を尽くす時代は終わりを告げようとしている。
かつて個人の力は弱く、独りでは生きられなかった。それゆえ個人は組織に身を寄せた。組織のために働き、組織に守られ、組織によって生かされた。ときには組織の犠牲になることもあった。個人より組織に価値があったからだ。
しかし時代は変わった。
人権は認められ、法整備も進み、個人を制約するものは減っていった。たとえば現在、転職の自由を制限することは難しい。能力ある個人は、自分のために組織(会社)を選べる時代になったのだ。
そしてネットワークが、この動き(個人の流動)を加速させている。
この勢いはもはや留めることはできない。
◎
かつて個人は組織の価値を高めるために働いた。
しかし今は、自分自身の価値を高めるために働くべきだろう。
組織は必ずしも個人を守ってはくれない。そして個人は、自分を活かせる組織を見つけることができる。こうした状況で、組織の命ずるままに働き、貴重な人生を浪費するのは愚かなことだ。
自分のために働くことが、もっとも自分のためになるのだ。
もはや平均的な(個性のない)能力者に価値はない。
そんなものはいくらでも替えがきくからだ。より安価な人材が見つかれば、企業はすぐ差し替えてしまうだろう。政府もそれを支援している。
2007年は売り手市場かもしれないが、それが永続するわけもない。
できる人とできない人の格差はますます広がるだろう。残酷なまでに。
◎
だからこそ、自分に厨を尽くせ。
つまり自分の専門分野をひたすら掘り下げるんだ。
とびっきりニッチで、競合他者のいない世界でトップを目指すのだ。たとえば、どんな文章でも書けるマルチライターより、水着メカ幼女フィギュア専門ライターの方が生き残れるだろう。
ニート? 派遣? 引きこもり?
大いにけっこう!
やりたいことを我慢する人が成功する時代は終わった。
やりたいことを際限なくやり尽くせ。
それで駄目なら、それまでよ。