[小説] 1984年 / 喉が渇く小説

2007年 娯楽 Apple 小説
[小説] 1984年 / 喉が渇く小説

 SF小説『1984年』を読み終えた。

 映画『華氏451』や『未来世紀ブラジル』、『リベリオン』、Macintosh 登場告知CM『1984』のモチーフになった作品である。その名はよく耳にするのだが、読んだことがなかったので、図書館から借りてきたのだ。

『1984年』あらすじ

1984年、超大国オセアニアは《偉大なる兄弟》によって統治されていた。それは徹底的な管理社会であり、人々は思想や言語、セックスに至るすべての自由を奪われていた。また人々は事実を記録することが許されず、それゆえ現状を比較する尺度を持ち得なかった。
こうした非人間的な体制に反発した真理省の役人・ウィンストンは、禁止されていた日記を密かにつけはじめるのだが...

 本作はイギリスの作家、ジョージ・オーウェルによって1949年に執筆された。つまり当時から35年後の「未来」を描いたわけだが、すでに23年前の「過去」となっている。もちろん、1984年は本作が示すような管理社会にはならなかったが、その暗示するところは現代においても通用する。いや、コンピュータとネットワークが発達によって、いっそうリアルになったと言えるだろう。

  • 戦争は平和である WAR IS PEACE
  • 自由は屈従である FREEDOM IS SLAVERY
  • 無知は力である IGNORANCE IS STRENGTH

《偉大なる兄弟》が指導する党のスローガン

 私が読んだ中でもっとも陰湿で、希望のない物語だった。とても人にはオススメできない。娯楽性など皆無に等しいが、そこに描かれた管理社会の精緻さには圧倒される。おそらくこれこそが、人間が人間を支配する最高にして最悪の方法だろう。

「よく考えられているけど、現実には起こりっこないね」

 そう思える人は幸せだ。