[報道・教養] NHKスペシャル「インドの衝撃」 / 衝撃の衝撃

2007年 政治・経済 NHK 報道・教養 海外
[報道・教養] NHKスペシャル「インドの衝撃」 / 衝撃の衝撃

 NHKスペシャル『インドの衝撃』を観た。

 いやはやスゴイね。インドは、11億の人口を抱える世界最大の民主主義国家。独立後は教育に注力して、優秀な人材による「頭脳立国」を目指してきた。

役に立つ教育

 その徹底的な英才教育は、戦慄を覚えるほどだった。学問のための学問ではないし、受験に合格するための勉強でもない。柔軟で、応用力のある知性を身につけるための訓練だった。平たく言えば、実社会で生き抜くための教育である。その是非はともかく、ゆとり教育で迷走する日本に比べると、その理念は明確だ。

家族の支援

 しかしインドは貧富の差が激しい。だれもが高度な教育を受けられるわけじゃない。ある若者は、村からの出資で授業を受けていた。わずか3,000円の学費を稼ぐため、80歳の祖父まで畑仕事に精を出していた。すべては未来のためだ。給食費を払わない日本の親たちに見せてやりたい光景だよ。

フラット化する世界

 生徒は寸暇を惜しんで学び、知性を磨き上げ、世界に旅立っていく。標準的に英語を学ぶので、「コトバの壁」がないのだ。各分野でめざましい業績をあげるインド人技術者たち。その一部は母国に帰り、国内の産業を育てようとしている。
 明治や戦後の日本も、こんな勢いがあったのかもしれない。

優秀 vs 無能

 優秀で、安価で、熱心に働くインド人は、アメリカ人技術者の仕事を奪っているという指摘もある。番組内でも「仕事を返せ」とデモを繰り広げる様子が紹介されていた。しかし民族感情を別にすれば、国家がなにを優先するかは明白である。能力の乏しいものは、今後ますます冷遇されていくだろう

対岸の火事ではい

 日本が安穏としていられるのは、「コトバの壁」に守られているからだ。インド人が日本語を勉強したらどうなるか、想像してみるがいい。もっとも、日本が魅力的な市場でなければインド人も進出してこないだろうが、それはとりもなおさず、日本の衰退を意味している。

 1時間足らずの番組を観て、「インド万歳!」と絶賛するわけじゃない。しかしあと数十年は生きる私たちにとって、インドは無視できない存在になりそうだ。

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