タマゴが先か、ニワトリが先か

2007年 政治・経済 海外 考え事
タマゴが先か、ニワトリが先か

がんばるのが先か、昇給が先か?

……つまり、こういうことだ。
ときおりコンビニで無愛想な店員を見かけるよね。1つ1つの動作が緩慢で、客の話をぜんぜん聞いていなくて、ミスばっかりなのに、ふてくされた態度をとる。
接客業をやるべきでない店員だ。

もしあなたが店長なら、こう思うだろう。
(あのなぁ。仕事なんだからきちっとやれよ!)
こんな店員を雇いたくはない。しかし解雇できるなら、とっくにしてる。
解雇できない(この店員を使うしかない)ことが、店長の弱味といえる。

一方、店員の方はこう思ってる。
(くだらねぇ。やることはやるけど、態度をよくするほど給料もらってねぇよ)
こんな仕事はやりたくない。しかし転職できるなら、とっくにしてる。
転職できない(この店で働くしかない)ことが、店員の弱味といえる。

さらに2人は考える。

店長(もっとがんばってくれたら、給料を払うのになぁ……)
店員(もっと給料を払ってくれたら、がんばるのになぁ……)

さらに2人は考える。

店長(先に給料を上げると、要求がエスカレートするから駄目だ)
店員(先にがんばっちゃうと、絶対に昇給しないから駄目だ)

さらに2人は考える。

店長(このまま倒産したら、国に援助してもらうか……)
店員(このまま倒産したら、別のバイトを探すか……)

なんとも閉塞した職場環境だ。
しかし日本全体が、このコンビニに近い状況になっている気がする。

オチ

ある日、日本語を話せる中国人が面接にやってきた。
店長は大喜びして、態度の悪い店員を即日解雇した。
なんの技術も経験もないまま放り出された店員は、路頭に迷うことになる。

翌年、日本語を話せるインド人が店長として赴任する。
収入が激減した店長は、どこぞのコンビニでバイトするのだが、そこの店長に「態度が悪い」と叱られる。

遠く離れた空の下で、店長と店員はこう思う。

(こうなったのは政府の責任だ)