記憶力と検索力

2007年 科技 パソコン 考え事
記憶力と検索力

「漢字なんか書けなくてもいい、ワープロがあるから」

と親父に言って、殴られたことがある。
九九のテストが悪くて叱られたときも、「ぼくが大人になるころは計算機があるから、暗算ができなくてもいいんだ」と言って、蹴り飛ばされたっけ。

パソコンやネットの普及により、記憶力にたよる部分は大幅に減った。かわって、検索力(ものを使いこなす力)がクローズアップされてきている。
「ツメコミ教育はもう古い! 記憶力より検索力だ!」
かつて自分が言ったとおりの風潮になったわけだが、私は逆に、疑問を抱くようになった。

──記憶力と検索力。
これらは対になる能力であり、片方だけでは足りない。
基礎と応用、入力と出力と置き換えてもいい。
しかるに現代人は検索力ばかり偏重し、記憶力を軽視しているように見える

たとえば、課長からこんな質問を受けたとする。
「ほら、あれ、なんていったっけ?
 大阪のお菓子でさ、くにゃくにゃして、ハッカのにおいがする……」

検索力を偏重する人は即答する。
「その条件では調べようがありません!」

記憶力(と検索力)がある人は推測する。
「課長、それは八つ橋じゃありませんか?
 大阪じゃなくて京都だし、
 ハッカじゃなくてニッキですよ」

あんまり適切な例じゃないけど、言いたいことはわかるでしょ。
ある程度の記憶力がないと、検索力は発揮されないのだ

ある程度って、どのくらい?
どこまでが基礎で、どっから応用なの?
無駄なことを記憶するのは、かえって非効率じゃないの?
といった意見もあるだろうが、そんなことは知らん。

記憶力と検索力は、どっちも必要だよ。

言いたいのはそれだけ。