教わること:前編
2007年 社会 考え事物理を習うまで、物理が好きだった。
もともと天文が好きだったので、宇宙の構造や相対性理論みたいな話が大好きだった。なので高校で物理を学べば、もっと好きになると思ってた(天文は地学だけど)。......しかし実際は逆だった。
私には1つの疑問があった。
物理学では、真空中の物体は同じスピードで落下すると教えられる。たとえば、大気のない惑星上に鉄球と羽毛を落とすと、同時に落着する。
私にはこれが、どうしても納得できなかった。
質量がある物体には引力がある。
その強さは質量の積に比例して、距離の二乗に反比例する(万有引力)。鉄球と羽毛では質量がちがうから、もっている引力もちがう。引力が大きい方が強い力で引き合うから、より速く落下するはずだ。
赤色矮星に木星と羽毛を落としたとする。
赤色矮星の引力を10,000,000、木星を100,000、羽毛を1とすれば、木星と赤色矮星のあいだに働く引力は10,100,000、羽毛には10,000,001。感覚的には、木星の方が速く落ちるように思える。
物理学の説明は理解できても、納得できなかった。
私は物理の先生に質問した。先生は、
「方程式ではそうなるから、そうなるんだ」
と言う。私は食い下がった。
「方程式ではそうでも、疑問に思いませんか?」
しかし先生は疑問に思わないという。
そして方程式を疑ったら、物理学は成立しないと言われた。
このとき、私は物理学がきらいになった。
◎
(先生が悪いと、生徒も伸びない!)
高校2年の私は、憤慨していた。
物理のテストは白紙で出したこともある。
思えば、馬鹿だった。
- 後編につづく