[報道・教養] ガイアの夜明け「公共サービスのなくなる日 ~夕張再生へ 立ち上がる住民たち~」 / ボトムアップの公共サービス

2007年 政治・経済 住まい 医療 報道・教養
[報道・教養] ガイアの夜明け「公共サービスのなくなる日 ~夕張再生へ 立ち上がる住民たち~」 / ボトムアップの公共サービス

ガイアの夜明け『公共サービスのなくなる日 ~夕張再生へ 立ち上がる住民たち~』を見た。

財政破綻した北海道夕張市は、3月から国の管理下で再建計画を進めることになった。その実情は公共サービスの縮小や廃止だった
ついに公立病院もなくなり、住民生活は窮迫していく。そんな中、とある福祉会館も廃止されることになる。市からの援助金がカットされたためだ。
この福祉会館は、高齢者たちの憩いの場所だった。リハビリ施設や大集会室などがあり、年間述べ3万人以上の高齢者が利用していた。「高齢者が家を出て運動することが大切」とする予防医学の観点からも、この会館の存在は重要だった。

──ここからがおもしろい。
てっきり市役所で抗議活動でもするのかと思ったら、さにあらず。高齢者たちは福祉会館を有料制にしたのだ。

  1. 利用するたびにお金を払う。
  2. 募金箱を置いて、寄付をつのる。
  3. 修繕や庭の手入れなど、自分たちでできることは自分たちでまかなう

その結果、予想以上のお金が集まり(支出が抑えられ)、福祉会館の存続が決まった。福祉会館は、市から与えられる無料サービスではなく、みんなで維持・運営する「地域住民の施設」になったわけだ。

テレビ番組だから、それなりの脚色はあるはず。日本の公共サービスすべてに通じる話ではないし、これはこれで問題点もあるだろう。
たとえば、施設維持に大した貢献もできない高齢者は、利用しづらくなるかもしれない。理念に賛同できない人、地域住民と仲良くできない人も足が遠のくだろう。「市」が管理することで得られていた公共性は、少なからず変質したと思われる

豊かになれば、公共サービスを充実できる。
 →互いの距離を置ける。
貧しくなれば、地域住民の連携で乗り切るしかない。
 →互いの距離が狭まる。

どちらがよいというわけではない。
ただ、両立させるのは難しそうだと思った。