あさっての記憶 / 寝ボケ、起きボケ
2007年 生活 健康 日常自分でもヤバイと思うほど、私は寝ぼける。
寝ていても、脳は(中途半端に)機能しているようだ。荒唐無稽な夢を見るくらいはいいけど、ときおり起きても夢のつづきを見ていることがある。問題だと思うが、自分ではどうしようもない。自分を制御する脳が起きていないのだから。
将来、ボケたら、いつもこんな状態になるのだろうか?
◎
先日、渡辺謙 主演の映画『明日の記憶』を見た。病状が悪化した後半は、シーンが飛んだり、現実と妄想の区別がつかなくなる。しかし主人公はその異常さを認識することもできなくなり、世界は黄昏に包まれる。
『明日の記憶』:あらすじ
若年性アルツハイマー病にかかったサラリーマンと、その妻の物語。ゆっくりと、しかし確実に進行していく病状により、主人公は会社から脱落し、社会から脱落し、ついに夫婦の絆さえ失いかける。あいまいな意識の中で、主人公は妻との思い出の場所を目指すのだが......。
夢と現実のはざかいに、「あいまいな世界」がある。私はその世界をよく知っている。平行線が交差することに疑問を抱かなくなる世界だ。今は還ってこられるが、還ってこられなくなったらと思うと怖くなる。とはいえ、あそこの住人になったら、怖いと思うことさえないだろうけどね。
ボケるのは怖い。怖いと思わなくなることが、いちばん怖い。しかしアルツハイマー病にならずとも、人はやがて老いて、あいまいになる。長生きするなら、それは避けられないことだ。
眠ったあとのことはどうしようもない。
せめて起きている今は、しっかり現実を感じていたい。