買い換えない族 vs 買い換え族

2008年 政治・経済 物欲
買い換えない族 vs 買い換え族

WBSで「買い換えない族」の特集を見た。

 「買い換えない族」とは、クルマや家電製品などを壊れるまで使いつづける人のことで、20~30代の若者に多いらしい。こうした若者はデザインが変わっても、機能が増えても見向きもしない。買い換えないのは製品の品質が向上したせいか、先行き不安のためか。いずれにせよ経済活動としては大きな問題である。

 現代日本は必要なモノがひととおり揃っている。だから買い換え需要がないと、企業は衰退してしまう。そこで企業は付加価値を創造したり、「買い換えた方がオトクですよ」とアピールして、消費者の財布のヒモをゆるめようとする。
 しかし買い換えない族は、そんなに問題なんだろうか?

 モノを大切に使うことは決して悪いことではない。むしろ無駄な買い換えをする欲望こそが、地球環境の破壊を招いている。その一方で、買い換えない族が増えれば企業の収益が減って、日本の国際競争力も失われる。その先に待っているのは、貧しい暮らしだ。ここにジレンマが潜んでいる。
 資本主義、自由競争主義の世界では、欲望のコントロールはきわめて難しい。不可能といってもいい。もうすぐはじまる洞爺湖サミットが、それを証明するだろう。

 さて、私自身はどうだろう?
 私は会社を経営しているので、仕事に使うモノは即座に買い換える。アウトカム(仕事の成果)が見込めるなら、支出をためらわない。クライアントに対しても、買い換え(リニューアル)を熱心に薦める。つまり企業サイドの私は「買い換え族」と言える

 そのくせ個人の私はケチだ。新しい冷蔵庫が欲しいと思っても、何年も買い換えない。支出に見合うヨロコビがあるのか、入念に検討する。それで結局、買わないことが多い。個人サイドの私は、筋金入りの「買い換えない族」だ

 このギャップに戸惑う友人も多いが、私自身も戸惑っている。
 しかし最近は、ギャップがあることが当然と思うようになってきた。企業サイドと個人サイドが一致していないからこそ、見えるものもある。そんな気がしている。