剽窃の割合
2008年 娯楽 創作人気コミック『イキガミ』が、星新一の短編『生活維持省』の剽窃ではないかと遺族から抗議されている。
私は両作品を読んでいるが、類似性は明らかだ。
なので今からでも「参考にしました」と認めれば済むだろうと思っていたが、小学館は「(星新一の短編を)読んだことがない」と真っ向から否定。それはちょっと不自然だろう。
『イキガミ』の基本設定は、『生活維持省』とまったく同じ。しかしシステムの詳細や、展開するドラマはオリジナリティがあって、おもしろい。これをパクリと批判するのはどうかと思う。
とはいえ、事前に遺族に了解をとったり、原作として明記すべきレベルかどうかは、よくわからない。このへんの線引きは、非常にあいまいだ。
昨今、こうした剽窃騒動はよく耳にする──。
- 漫画『金田一少年の事件簿』の主人公・一(はじめ)は、金田一耕助の孫という設定だが、事前に遺族の了承を得ていなかったらしく、孫であることを言及するシーンは控え目になってしまった。
- 映画『ゲド戦記』の挿入歌「テルーの唄」の歌詞は、「萩原朔太郎の『こころ』に、ある範囲を超えて似すぎている」と指摘され、表記を改めることになった。
- 松本零士の『銀河鉄道999』は、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』をベースに書かれたとは明記していない(若いころの経験から着想したとのこと)。ちなみに同氏は著作権保護の急先鋒であり、保護期間を50年から70年に伸ばすよう主張している。
- かたや『サルでも描けるまんが教室』で有名な竹熊健太郎は、元ネタがない創作は原理的にありえないと指摘している。
どのくらい割合で、剽窃になるのだろう?
◎
私もショートショートを書いているので、剽窃問題は気になっている。
まるっきりパクった作品はないつもりだが、映画や漫画の後日談のようなエピソードはある。複数の作品を組み合わせたり、設定を流用したものもある。いくつかはコメントに書き記してあるが、すべてを明記したとは言い切れない。気になって、かゆくなる。
私はアマチュアなので、いま気にするコトじゃない。
しかしだからといって、無頓着ではいられない。
悩ましい話だ。