生活水準の下方硬直性

2008年 政治・経済 旅行 物欲
生活水準の下方硬直性

小室哲哉が詐欺で逮捕された。
逮捕されたことより、100億もの資産がわずか数年で消えていたことに驚かされる。生涯賃金を2億円とすれば、50人の一生を買い取れるほどの金額である。そんな大金を使い切ってしまった小室哲哉もスゴイが、そんな小室哲哉からお金をじゃぶじゃぶ引き出した連中もスゴイ。世の中、本当に油断ならない。

最近、生活苦を伝えるニュースが増えた。
「新橋で働くサラリーマンが、飲みの回数を減らしたり、弁当を持参するようになった」というレポートを見かけたが、その程度の節約で済むなら報道するまでもないと思う。稼ぎが減って支出を減らすのは当たり前ではないか。

生活水準を上げると、以前の状態には戻せなくなる
こうした傾向を「下方硬直性」と呼ぶ。

たとえば、給料がアップしたら、以前の給料では納得しなくなる。
美味しい食事をすれば、以前の貧しい食事は堪えられない。
高級下着の肌触りに慣れたら、安物の量産品は使えない。
年2度の海外旅行が当たり前になれば、年1度に減るのは許されない。

以前はなんでもなかった生活が耐え難いものとなり、怨嗟の声をあげる。生活水準の向上は、中毒性の高い麻薬のようだ

私の目から見ると、100億使いきった小室哲哉も、仕事があるのに不平をこぼすサラリーマンも同列だ。生活水準の変化に対応できていない。右肩上がりの時代じゃないんだから、収支をコントロールできないと、破滅はあっという間だ。

「貧しい生活に我慢しろ」と言ってるわけじゃない。
稼ぎが減ったら支出を抑え、稼ぎが増えても過剰に使わない。あるいは必要以上に働かない、怠けない。それだけの話だが、実践するのは難しい。