[漫画] 蟲師 / すばらしき幕引き

2008年 娯楽 マンガ 考察
[漫画] 蟲師 / すばらしき幕引き

本屋に立ち寄ると、『蟲師』の第10巻が売られていた。

(↓下記、反転ネタバレ)

最終巻だった──
私は連載を読んでいないので、それは唐突に突き付けられた"別れ"だった。

どんな形にせよ、旅はいつか終わる。だらだら続けるより、きちんと終止符を打ってほしいと思っていた。しかしまさか、こんななんでもない日に、最終巻を手にすることになろうとは......。
待っていたような、恐れていたような時が訪れた。
漫画を読む前から、身が震える思いだった。

読み終えて、深い満足と、微かな悲しみにひたる。
このテーマを、このように描いたのか。遠い未来には、ヒトは理(ことわり)から外れていくかもしれないが、それはまだ先のようだ。
いや、そうではない。
『蟲師』の世界は、私たちとはちがった未来に進むのだろう。それは、私たちが捨ててしまった可能性であり、まさしく道がわかれたのだ。

もちろん、気になることはある。
禁種の蟲はどうなったのか? 淡幽は歩けるようになるのか?
問題がすべて解決したわけではないが、すべてが解決することなどありえない。なにか事件が起きても、彼らは彼らでなんとかするだろう。道をたがえた旅人のことを気にするより、自分の旅に目を向けなくては。

よい物語と出会えて、私の旅も豊かになりました。

またいつか、どこかで。