テレビ脳対策

2008年 社会 テレビを消そう
テレビ脳対策

幼児に長時間テレビを見させると、言葉の発達が遅れたり、集団行動が苦手になるらしい。

この状態を「テレビ脳」という。
社団法人日本小児科医会による調査で明らかになった傾向だ。医学的、科学的な根拠はわからないが、なんとなく理解できる話である。

最近のテレビは、頭をまったく使わず鑑賞できる。
日本語にも字幕がつくし、重要シーンは強調演出される。CMのたびにダイジェストが流れるから、短期記憶も必要ない。怒るべきか、疑うべきかも、テレビから指示してくれる。
そんなテレビばっかり見ていたら、刺激に対して鈍くなり、物事を深く考えず、人の話を聞かない、集中力のない人間になるのは当然だろう。

テレビに比べれば、ゲームの方がずっと頭を使う。
しかし「ゲーム脳」ほど、「テレビ脳」が問題視されることはない。テレビ局にしてみれば、カスカスの「テレビ脳」は歓迎すべき状態だから、批判する気もないのだろう。

ふと、親父のことを思い出した。
親父はよく、テレビと会話していた。ニュースキャスターが「おはようございます」というと、「おはようさん」と返す。クイズでなくとも、「これから、どうなるでしょう?」という展開があれば、いちいち声に出して答える。
「わざとらしい」「あれはどうなった?」「そんな馬鹿な」「うまそうだ」
くだらないバラエティであっても、細かく感想を述べていた。

子どもの頃、私は親父に尋ねたことがある。
「なんでテレビに挨拶するの?」
テレビの中からこちらは見えないし、こちらの声もテレビの中には届かない。だから挨拶するのは無駄だと意見したが、親父の答えは明瞭だった。
「挨拶されたから、返してるだけ」
......そういうものかもしれない。

最近、私もよくテレビに話しかけている。
そして、なにも言うことがない番組は、消すことにしている。