オトナになれない

2008年 政治・経済 仕事
オトナになれない

熱湯をあびた猫は、水をも恐れるという。

猫の愚かさを笑うエピソードだが、仕方ないだろう。ぶっかけられたのが水なのか、熱湯なのか、浴びてみるまでわからない。以前、お湯を浴びて痛い目を見ていれば、とりあえず回避しようとする。その様子を見て、「水なのに、馬鹿だなぁ」と笑う方が、おかしいだろう。

痛い目にあって、もう付き合いたくないクライアントがいる。
そのときは歯を食いしばって納品(手切れ)したけど、本当につらかった。ソイツに会うのがイヤで、電車で吐いたこともある。胃袋がちぎれるほどイヤなのだ。

数年が経ち、同じ相手からまた仕事を依頼された。前回で懲りたから、お断りしたいのだが、「そこをなんとか」の一点張りだ。

「前回は悲惨だったけど、また同じ展開になるとはかぎらない」
「過ぎたことは過ぎたこと。オトナになろうよ」
「いざとなったら、なんとかするから」

仕事を断るのは、タダじゃない。
とりわけ仕事の内容ではなく、相手がイヤで断る場合は、さまざまな配慮がいる。断る努力をするくらいなら、いっそやってしまった方が楽に思えることも多い。まぁ、そればっかりだ。

損得だけ見れば、やった方がいい。
すべてはお金のためだ。憤怒は仮面の下に隠しておけ。無駄な作業分もばっちり請求するんだ。自分らしい仕事はできないが、そこを耐えるのがオトナじゃないか。

いろいろ考えたけど、断ってしまった。
もう、この方角から仕事は来ないだろうな。
あっはっは。