誰にでもできる旅
2009年 生活 旅行ネットを見渡せば、独自の視点で旅をしている人が、じつに多い。
全国の灯台めぐり、ダムめぐり、駅舎めぐり、廃墟めぐり、近代遺産めぐり......。
本になりそうなところも多く、本になったところもある。
それらに比べると、自分の旅の平凡さが恥ずかしくなる。
私は、日記の件数こそ多いが、ご近所ばかり。誰にでもできる旅だ。言い換えるなら、すでに誰かがやった旅であり、オリジナリティも目新しさもない。
真の発見の旅とは新しい風景を求めることではなく、新しい目を持つことである。
マルセル・プルースト(フランスの作家)
もちろん、旅を他人と比較してもはじまらない。
しかしそれでも、他人と比較し、自分ならではの旅をしたいと思ってしまう。言い換えるなら、世の中に自慢できる、それこそ本にできるような旅をしたい。
しかし私は、興味範囲を限定できないし、掘り下げることもない。
たとえば私は灯台が好きだが、全国3,348基を見てまわるのは不可能だ。
「日本の灯台50選」に絞っても、離島や岩礁、特別保護地区に点在しているので無理っぽい。
参観灯台15基ならクリアできそうだが、その程度ならクリア済みの猛者も多く、今さら私がクリアしたところで、なにがどうなるわけでもない。
旅の内容だけでない。文章にせよ、写真にせよ、ブログの機能やデザインにせよ、自分より優れた人はあまりにも多い。そして私には、独自のスタイルを生み出すバイタリティもない。なんだか空しくなってしまう。
私の旅は「誰にでもできる旅」であり、平々凡々きわまりない。それを必死にレポートしたところで、誰かの役に立つわけでもない。もちろん無駄だからと言って、好きなことをやめる気はないが、好きでやっている以上の「意義」がほしいと思う。
何年も探しているのだが、いまだ見いだせていない。