玄人向けのカーナビ

2009年 科技 物欲
玄人向けのカーナビ

うちのカーナビ(ALPINE製)は、アクロバティックなルートを推奨してくる。

たとえば住宅街から幹線道路に抜けるときは、わかりやすいルートではなく、最短ルート──いわゆる「地元の人しか知らないような近道・裏道」を案内してくる
暗くて狭い路地に突っ込めと指示されると、無事に通り抜けられるのか心配になる。車幅ぴったりの農道に案内されて立ち往生しかけたこともある。
それで、どれほど時間短縮できたか不明だが、大通りに抜けたときは、地上の光を浴びたように安堵する。

「ALPINEはいいよ。玄人向けだね♪」
と薦めてくれたのは、タクシーの運転手だった。

カーナビのアルゴリズムはメーカーごとに個性があって、たとえば大衆向けのcarrozzeriaは、たとえ大回りになっても、わかりやすいルートを案内するそうだ。
その運転手さんが、自分の経験と同僚の話をまとめた結論としては、「東京都内ではALPINEがサイコー!」と言うことだった。それで私もALPINEを買ったのだが、うーん、私は玄人ではなかった。

カーナビを導入したことで、地図を覚えなくなった。つまり運転中にあまり脳を使わなくなったわけだが、これまでなかった判断を求められるようになった。つまり、カーナビの言うことを信じるかどうかだ。

カーナビに案内されるまま走ると、運転に苦労することがある。
また地図データが古いため、道が通じていない可能性もある。
それでもカーナビを信じるか、自分の直感を信じるか?
どっちが正しいかではなく、どっちが後悔しないのか?

たぶん、大通りばかり案内されていたら、こんなことで悩まなかっただろう。
ALPINEのカーナビは本当に、玄人向けだった。

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