女はトクだと思うとき

2009年 社会 男と女 考え事
女はトクだと思うとき

帰りの電車の中で、となりに座った女性がもたれかかってきた。

ダイナミックに寄りかかられて、困惑する。はたから見れば、恋人か夫婦に思われるかもしれない。頭の位置が定まっていないので、肩を動かして、安定させてやる。と同時に、自分から触れないよう、背骨を垂直に保つ。けっこう疲れる。

こういうとき、女はトクだなと思う。
無防備に身体をあずけ、気持ちよさそうに寝ているが、同じことを私(男)がやったら大問題だ。ぼんやり前を見ているだけで、「なに見てんだよ」と言われかねない世の中なのだ。

「草食系男子」という言葉があるそうだが、そりゃ、草食にもなるさ。
男から女に声をかけるリスクは、この数年で格段に高まった。おっかなくて、お世辞も言えない。ゆえに男は待つ。女性の気が向いたときだけ、男は相手をしてもらえる。がっつく男は敬遠される。肉食系男子は、(一部の例外をのぞき)淘汰されてしまった。

「でも、ときには強引に迫ってほしいよね~」
なんて話も聞くけど、本当に強引に迫ったらどうなるだろう?
結果は女性の気分次第。下手すれば社会的に抹殺される。生殺与奪の権は、明らかに女性の手中にある。こわすぎる。

にもかかわらず、肩をあずけられて嬉しく思ったりするあたり、男も馬鹿だなと思う。

不意に、彼女は立ち上がって電車を降りていった。
振り返ることもない。

これで私も、ゆっくり眠ることができる。やれやれ。