既知との遭遇

2009年 政治・経済
既知との遭遇

7月4日、北朝鮮ミサイルは計7発のミサイルを発射した。

国連安全保障理事会の決議を無視することで、国際社会の制裁にあくまでも抵抗する意志を鮮明にした。また米国の独立記念日(4日)に合わせることで、米国を挑発するねらいもあるだろう。
日本政府は「厳重に抗議する」「遺憾の意を表明する」そうだが、効果はまったく期待できない。もはやコトバが通じる相手ではないと、多くの人が思っているだろう。

この数年の北朝鮮の動きを見ていると、宇宙人との遭遇を彷彿させる。
映画やアニメでは、宇宙人と遭遇すると決まって武力衝突が起こる。その中で主人公は「なぜ対話できないのか!」と訴えるけど、無茶な話だ。コトバが通じず、思考法が異なり、地球文明との接点がない相手と、どうやって対話を成立させればいいのか? ましてや相手が武力をちらつかせている場合、対話を試みることさえ危険となる。

襲ってくるクマに腹をさらせば、喰われて当然だ。何回か試せば、じつは「クマに襲うつもりはなかった」「クマも人間を恐れていた」「エサをくれれば帰った」とわかるかもしれないが、そのために犠牲になるのはごめんだ。クマが襲う気まんまんだったら、喰われ損になる。
対話とは、むしろ武力衝突のあとに行うことかもしれない。

映画『マーズ・アタック!』(Mars Attacks!)で描かれる火星人との遭遇がおもしろい。
火星人はあからさまに不気味で、挑発的なのに、地球人は必死に対話を試みようとする。火星人の光線銃乱射で多数の犠牲者が出ても、なお地球人は平和的解決をあきらめない。しかしホワイトハウスが襲撃されて、大統領は戦争を決意するのだが、時すでに遅く、地球は火星人に蹂躙されてしまう……というストーリー。
「醜悪な宇宙人が、見たまんま醜悪なヤツだった」という、定説をくつがえす意欲作だった。

私はなにも、北朝鮮との戦争を望んでいるわけではない。しかし、せっせと支援したお金で作った武器で脅されるような展開は、もう繰り返さないでほしい。とはいえ、暴力しか理解できない相手と、どう対話すればいいのか? 北朝鮮は武力行使されることがないと踏んでいるから、国際社会をなめきっている。

この膠着状態を(武力を行使することなく)日本が解決できれば、国際社会にふたたびデビューできるだろう。そういう意味では、100年に1度のチャンスとも言える。日本政府には、がんばってほしいのだが、どうだろうね。


北朝鮮ミサイル 計7発を発射
https://news.mixi.jp/view_news.pl?id=888491&media_id=2

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