Green Giftで減るもの

2009年 政治・経済
Green Giftで減るもの

車の任意保険を更新したら、Green Giftなるものを紹介された。

契約約款をWebで公開するから、紙の冊子を配布しないことに同意してほしいと言うのだ。あんな分厚い冊子は読んだこともないので、すぐさま同意する。これで紙の消費量が減るばかりでなく、1契約に付き2本のマングローブが東南アジアなどに植林されるそうだ。
なるほど、だからGreen Gift か。

エコロジーを標榜しているが、実際は保険会社の経費削減(印刷や運搬、配布)が目的なんだろうな。ストレートに「約款の配布はやめました」では反発もあるので、「その分をエコにまわしましょう」と銘打っているわけだ。
客にしても、実際にマングローブの木が植えられたかどうかは興味がなく、「なんとなくイイコトした」という気分にひたれる。双方にメリットがあるプロジェクトだ。

一方で、約款の印刷や運搬、配布を仕事にしていた人は困るだろう。極端な言い方をすれば、Green Giftによって仕事を失う人がいるかもしれない。

「印刷なんて先がないから、早く転職した方がいい」
なんて言えるのは若い人だけ。仕事ってのは、そう簡単には変えられない。それまで社会に必要とされてきた仕事を、時代の変化で無駄あつかいされる身にもなってほしい。
まぁ、Green Giftがスタートしたってことは、そのへんの調整(別の仕事を割り当てる)がついたのだろう。そう思いたい。無駄は減らしたいけど、失業者は増やしたくないからね。

世の中に無駄は多いが、誰からも必要とされていない無駄なら、あっさり解消されて、煩わされることもない。多くの人にとっては無駄でも、それを必要とする人がいるから、消えずに残っているのだ。言い換えるなら、無駄には無駄の存在意義がある。だからこそ無駄を省くときは、その反発や影響を考えなければならない。
Green Giftの案内を読みながら、そんなことを考えた。

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