マニアの推薦は、ノンケの口に合わない

2009年 生活 アニメ オタク文化 友人A
マニアの推薦は、ノンケの口に合わない

「なんか、オススメのゲームはない?」

遊びに来た友人Aになにげなく訊ねたら、あからさまに不機嫌な顔をされた。
「おれはゲーム大好きだから、たくさんゲームをやってるよ。
 だから、いろんな人にオススメを訊かれるけど、おれが知ってるのは、おれにオススメのゲームだけで、あんまりゲームをやらない人のへオススメは知らないね。
 それに、おれが勧めたゲームを、ヒラさんは買わないし、やらないじゃないか!」

どうやら不機嫌のツボを突いてしまったらしい。職場でも似たようなヤリトリがあって、うんざりしているところだった。私は軽率な質問をおわびした。

まぁ、Aの言うとおりではある。
これまで私には、Aにたくさんのゲームやアニメ、漫画、映画を薦めてもらったが、実際に観賞したのは1割以下だ。残りは概要をみて、「あー、口に合わない」と切り捨てていた。
全国津々浦々の美味に通じた大路魯山人は、田んぼのタニシを好んで食べたという。マニアが喜ぶポイントは、常人(ノンケ)とは異なるのだ。

そういえば、Aの新番組予報はよく外れる。
たとえば未知なる新番組、新連載があると、Aはものすごく期待する。
「こいつぁ、おもしろくなるぜ!」「○×のオマージュだな」「きっとこれは、△□の伏線だ」
と興奮し、周囲に推薦し、発売されたばかりのDVDや新刊に飛びつく。しかし私(ノンケ)の目には、それほどの作品には見えない。A(マニア)の目には、そこにないものが見えているのか。
そして多くの作品は迷走しはじめ、グダグダの結末を迎える。
「出だしはよかったのに……」
さすがのAもがっくり肩を落とす。が、そのころには次の作品に興奮している。
「こいつぁ、おもしろくなるぜ!」
懲りる気配もない。
まぁ、懲りないからこそ、マニアなんだろうけどさ

マニアの推薦は、ノンケの口に合わない

他人にオススメを訊くとき、あるいは自分がオススメを伝えるときは、この真理を思い出すことにしよう。