HVの無音問題 / 少数のケアはどこまで、どのように?

2010年 社会
HVの無音問題 / 少数のケアはどこまで、どのように?

ハイブリッド車(HV)は「静かすぎて危険」との指摘から、人工音の必要性が議論されている。

モーターで走行するHVは無音に等しいので、歩行者が車の接近に気づかず、危険だというのだ。とりわけ視覚障害者には危険が大きいと言われる。
HVに人工的な音を出させるのは容易だが、どんな音を、どのくらいの大きさで出せば十分なのかが不明瞭。『車が通過します』というアナウンスしたり、BGMを流せば、安全と言えるだろうか? また法的な義務がないため、音が鳴る車と鳴らない車が混じることの危険性も指摘されている。

当たり前だが、騒音はない方がいいに決まっている
無音のHVで危険にさらされるのは、ごくごく少数だ。人数だけでなく、場面も少ない。たとえば視覚障害者も、家にいるときは車の接近に気を遣う必要はない。注意を喚起しながら、かつ騒音にならない音などありえない。
少数をケアするために、多数に不便を強いるのはまちがっている

それより車に発信器を設置して、車の接近を振動などで警告する装置を開発するのはどうだろう? 車が接近する方角や速度から危険を割り出して、段階的に警告できればなおよい。
この装置のメリットを考えてみよう。

1.目や耳に障害がある人、高齢者にも便利

どんな音でも聞こえない人には聞こえないが、この装置なら感度や警告の強さを使用者に応じて調節できる。 また、自分が車や電車で移動しているときは、装置をオフにすることで警告に悩まされることもない。

2.HV以外の車にも適用できる

車の接近を伝えるシステムなので、HV以外の車輌にも適用できる。 車だけでなく、街の各所に埋め込んでおけば、歩行者のガイドシステムとして活用できる。障害者の移動だけでなく、見知らぬ土地を旅するときも便利だろう。

3.インフラに利用できる

車が近づくと自動で切り替わる信号や、交通量に応じた誘導が可能になる。 さらに車ごとに固有のIDを割り振れば、Nシステム(自動車ナンバー自動読取装置)以上に正確な位置把握ができる。プライバシーの問題はあるが、車を盗んだり、車で逃走できなくなるため、犯罪抑止効果はきわめて大きい。

4.車に警告できる

装置から電波を発することで、運転者にも警告できる。『車が通過します』ではなく、『障害者が歩行しています』とアナウンスするわけだ。 たとえば健常者でも、路上で倒れたときに警告を発すれば、車にひかれる危険を減らすことができる。

実現可能なアイデアなので、すでにどこかで開発中かもしれない。携帯電話と組み合わせれば、より多くの問題を解決できるだろう。
すべてのHVに鈴をつけるなんて愚策はやめてほしい。


■「静かすぎて危険」HV車につける音どうする
(読売新聞 - 01月08日 10:11)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1071636&media_id=20