言論の自由と国益

2010年 政治・経済 Google 時事ネタ 海外
言論の自由と国益

Googleと中国の戦いがおもしろい。

Googleは中国政府による検閲とサイバー攻撃を理由に、中国市場からの撤退の可能性を示唆。自主規制を解除したらしく、「天安門事件」や「ダライ・ラマ14世」といった中国政府NGワードが検索できる状態になっている。
中国政府がこれをやめさせるためには、Googleを遮断するしかない。中国政府が譲歩するとは思えないが、Googleを追い出せば国際社会に与える影響は大きい。なんとか言うことを聞かせたいところだろう。

一方、Googleも正義のために戦っているわけではあるまい。約3億3800万人という世界最大のネット市場は、そう簡単に手を引けるものじゃない。しかし現状のままでは大きな成長は見込めないし、ノウハウ流出や信用失墜のリスクも大きい。どこかで勝負に出ないと、ジリ貧になると踏んだのだろう。

果たしてどんな決着を迎えるのか?
これは1つの戦争だと思う。

言論の自由と国益について考えてみる。

中国政府が言論統制を行っていることは、世界的には常識だが、中国国民にはあまり意識されていない(そうだ)。自分たちがなにを知らされず、それによってどんな不利益を被っているのか? 経済成長いちじるしい中国で、問題意識をもつ人は多くないだろう。

言論の自由を認めるより、政府が統制した方が国益になる……という意見もある。日本は言論の自由が認められているが、それで国がよくなったと言えるだろうか? 国民の不安をあおったり、芸能人を追いかけてばかりのマスコミが消えても、あまり困らないだろう。

言論の自由──あるいは民主主義は、意志決定を遅くする。なのでガンガン攻めたいときに不便なのは事実。しかしこの世にカンペキな政府はなく、役人の無謬(むびゅう)性もありえない。政府が失敗したとき、言論の自由がないと、政治を修正することができず、より大きな厄災を招いてしまう。
言論の自由を求める背景には、政府への不信感があるわけだ。

日本やアメリカ、ヨーロッパ諸国の国民は、長い戦争の歴史でそれを学んできたが、中国は逆の道を歩んでいる。しかし無限に成長することはありえないから、どこかで行き詰まる。そのとき言論の自由がないと、中国は挙国一致でとんでもないことをするだろう。そこが怖い。

ともあれ、Google vs 中国である。
どんな決着を迎え、どんな未来になるのか。じつに興味深い。

※写真は中国政府の検閲ソフト、緑bar娘たん。


<グーグル問題>「最も愚かな決定」か「中国の裏切り」か、ネットユーザーは真っ二つ!―中国
https://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1078766&media_id=31