貧困の仕組み / 自己責任のイス取りゲーム

2010年 政治・経済 人権 社会
貧困の仕組み / 自己責任のイス取りゲーム

貧困は「イス取りゲーム」にたとえられる。

イス取りゲームに負けた人は「自分の努力が足りなかった(自己責任)」と嘆き、勝った人は「自分の努力のおかげ(実力主義)」と喜ぶ。イスが減っていくと、さっきまで座れていた人もあぶれてしまう。それを見て、みんなが「自己責任だ」と思う。
しかし問題は、イスが足りてないことだろう。

イスを増やすには、行政の手助けがいる。しかし支援を求めると、多くの人は「他力本願だ」だと眉をひそめる。それも一理あるが、個人がなんでも解決できるわけじゃない。
失業者が増えると、社会が不安定になって、国力が衰える。いまは失業者も「自己責任」の呪縛でおとなしいが、今後もそうとはかぎらない。誰の責任かはともかく、貧困はない方がいい

「自己責任」ってのは魔法の言葉で、勝者だけでなく、敗者にも夢を与えるようだ。なるほど「自己責任」と唱えれば、誰かのイスを奪っても良心が痛まないし、どん底に落ちても「実力があれば這い上がれる」と希望がもてる。
実際はイスが足りてなければ、どうにもならないけどね。

イス取りゲームの必勝法は、音楽が鳴っているあいだも席を立たないことだ。冒険しない、責任が伴う決断をしない、実力が問われる現場に出ない、後方に引っ込んで、自分の地位保全を最優先する。
これが実力主義の勝者だとしたら、働く喜びもない

そもそも私たちの社会は、きちんと実力が評価されるほど成熟してるのか? 脱税総理が行政のトップにいるのに、信賞必罰があると思う方がいかれてる。
私たちが期待するほど、実力と出世(イスの確保)は関連しない

  • イスはますます減っている - 景気後退、高齢化、国際競争力の低下
  • イスが増える見込みはない - 政府は景気浮揚策を出していない。
  • イスをなくしたら立てない - 失業者対策はぜんぜん進んでいない
  • 誰もがイスを失う恐れがある - 世の中の変化が早まっている。安泰な職種がない。

むやみに失業者を保護しろと言うわけじゃない。なにをするかの前に、なにが起こっているかを理解しておきたい。

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2011/09/09 * 政治・経済