[報道・教養] NHKクローズアップ現代 映画「ザ・コーヴ」問われる"表現" / 新しい侵略戦争

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[報道・教養] NHKクローズアップ現代 映画「ザ・コーヴ」問われる"表現" / 新しい侵略戦争

NHKクローズアップ現代で、映画『ザ・コーヴ』を特集していた。

『ザ・コーヴ』は、和歌山県太地町で行われているイルカ追い込み漁を批判的に描いたドキュメンタリー映画。私は見てないし、見るつもりもないが、ひどい内容らしい。「ひどい」のは、その撮影手法。隠し撮りはもちろん、やらせ、つぎはぎ、恣意的な事実誤認、住民を怒らせておいてから、怒鳴るシーンだけ抽出したり……。
これはドキュメンタリーではないね。結論ありきのプロパガンダだ

事態は、すでに戦争の域に入っている。シー・シェパードは猟師たちの網を切り、漁師たちの生活を脅かし、残酷な映像を撮った人に賞金を出すと喧伝している。イルカ猟の実情や、太地町の言い分なんか、どうでもいいのだ。映画は、そうした攻撃の一部でしかない。

情けないのは、日本側の抵抗。上映を阻止するため、映画館の前で「反日映画だ」と怒鳴り散らしたり、オーナーの実家に押しかけたり……。そうした抗議活動がまた、世界的に批判されて、映画の宣伝になっている。おまえら右翼は、どっちの味方なんだ?

「表現の自由を守れ」とよく言われるが、むしろ「表現の暴力やめて」と言うべき時代になっている。物理的暴力が禁じられた世界では、表現は、最強の攻撃手段である。しかも、事実に左右されない。

たとえば、反論ドキュメンタリー映画『ザ・コーヴの真実』を獲ったとしても、『ザ・コーヴ』ほどの予算は集められないし、過激な表現もできないし、アカデミー賞も獲れないだろう。なにが事実かは、もはや争点ではない。いかにして相手を屈服させるか。表現という武器を使った戦争なのだ

日本民族は、こうした表現戦争に、めっぽう弱い。「言わずとも通じる」「真実はきっと伝わる」「地道にやっていれば、わかってくれる」なんて考えてると、あっけなく占領されてしまうぞ!

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