9.11から9年、深まる宗教対立
2010年 社会 海外 社会
アメリカ人のイスラム教徒への反感は、抜き差しならないステージに入ってしまった。
米でコーラン焼却や冒涜 ホワイトハウスそばでも
11日、米南部テネシー州スプリングフィールドで、イスラム教の聖典コーランに油をかけ、燃やすキリスト教会のボブ・オールド牧師ら(ロイター)11日、米南部テネシー州スプリングフィールドで、イスラム教の聖典コーランに油をかけ、燃やすキリスト教会のボブ・オールド牧師ら(ロイター)
ロイター通信は米中枢同時テロから9年を迎えた11日、米南部テネシー州スプリングフィールドでキリスト教会のボブ・オールド牧師らがイスラム教の聖典コーランに油をかけて焼却したと報じた。
AP通信によると、11日にはこのほか、コーランを冒涜する行為が首都ワシントンのホワイトハウスそばなどで計3件あった。フロリダ州の牧師もコーランを燃やすと宣言していたが撤回した。
オールド牧師はこの数日前、米テレビ局に対し、焼却の理由について「イスラム教徒が偽りの神を崇拝していると信じるからだ」と語っていた。
[URL] https://sankei.jp.msn.com/world/america/100912/amr1009121204004-n1.htm
共同 2010.9.12 11:54
アメリカは大きな国だから、一部の特殊な人が騒いでいると思っていたが、そうではなかった。グランド・ゼロ近くのモスク建設を巡っても、賛成と反対のデモが起こって、世論が二分されたという。
二分? つまり、イスラム教徒を否定する勢力は、決して少数派ではないのだ。
アメリカは、こんなにも傲慢な国だったのか。
キリスト教は、こんなに不寛容な宗教だったのか。
2005年にあったムハンマド風刺漫画掲載問題もそうだが、西欧諸国は鈍感すぎる。自分たちが「民主主義」や「言論の自由」を尊重しているからといって、ほかの宗教を冒涜していいわけじゃない。
民主主義(みんなで決めたこと)より、宗教(神さまが決めたこと)が優先されるとは言わない。しかし異なる宗教、文化、民族へは一定の配慮があるべきだ。
オーストラリアの反捕鯨活動もそうだ。自分たちの正義を一方的に押しつけて、異論はいっさい認めない。ただ相手をなじり、屈服させようとする。「正義」や「平等」、「博愛」と言った概念を、棍棒と同じレベルで使っている。
イスラム教徒がマリア像を燃やすのを見て、「表現の自由」と許容できるアメリカ人はいるだろうか? 大切なものを踏みにじられた屈辱は根深い。こんなことをやってたら、宗教戦争になってしまうぞ。
人類は、期待するほど、進化していなかったのか......。