[報道・教養] クローズアップ現代「認知症"命の金が奪われた"」 / うっかり長生きしちゃったら、どうしよう?

2010年 生活 報道・教養 孤独
[報道・教養] クローズアップ現代「認知症"命の金が奪われた"」 / うっかり長生きしちゃったら、どうしよう?

うっかり長生きしちゃったら、どうしよう?

そんな虚しいことを考えてしまうは、NHKが「孤独死」や「無縁死」を大々的に報道しているからだ。今は死ぬリスクより、生きるリスクの方が大きい。たとえば家族が死んで、友だちが死んで、身体が衰えて、頭がぼけて、貯金が尽きても、なお生きていたら、どんだけ苦労することか。最期は誰に看取られることなく息絶え、死体をさらすことになる。あぁ、やだやだ。

孤独死を恐れることはない

ニュースによると、2009年に公団住宅で孤独死した人は1,191人だった。UR(都市再生機構)団地で起きた65歳以上の孤独死472人を合わせると、毎日4人弱の高齢者が孤独死していることになる。
孤独死の明確な定義はないので、全国的な統計データはない。独り暮らしの人が死ねば、たいてい孤独死になる。布団の中で息を引き取った人もいれば、風呂場で滑って事故死した人もいるだろう。あるいは、留守番してるときに死んでしまう例だってあるはず。
「孤独死」という言葉のイメージは強烈だけど、あまり悲観するのもよくない。人間の死亡率は100%であって、最期の一瞬が独りになってしまう確率は決して低くないはず。ことさら悲劇的に扱うのはおかしい

長生きのリスク、さらに高まる

このあいだクローズアップ現代で、高齢者をターゲットにした詐欺事件の特集を見た。認知症の高齢者から通帳を取り上げ、年金を横取りしてしまうような事件が全国で多発している。親の死を隠して年金を受け取っていた「消えた高齢者問題」もこれに類する。
当然、「高齢者を守れ」という機運が高まっている。自治体は細かなケアをしようと各家庭を訪問し、成年後見人制度などを紹介している。こうした介入によって、未然に防がれた被害もあるだろうが、なんとなく怖い感じもする。
どこまで介入し、どこまで個人の意思を尊重するか。究極的には、政府が推奨する死に方(死なせ方)マニュアルが作られそうだ。

うっかり長生きしちゃったら、どうする? 若いうちに考えるのは馬鹿らしいが、老いてから考えても間に合わない。なんともイヤな話題だ。