煮え立った嫁

2011年 生活 生活
煮え立った嫁

夜、寝床で嫁が童謡を歌いはじめた。

「あわぶくたったー煮え立ったー
 煮えたかどうだか食べてみよう
 むしゃむしゃむしゃ
 もういらない」

疲れて寝付けず、ビールを飲んで酔っぱらった嫁は、壊れたレコードのように同じフレーズを繰り返す。うんざりした私はiPhoneで歌詞を調べた。

「そこは(まだ煮えない)だよ。
 (もういらない)じゃ終わっちゃうでしょ」
「あぁ、そうか」

正しい歌詞で嫁が歌いはじめる。鬼の役も自分でやってる。

「あわぶくたったー煮え立ったー
 煮えたかどうだか食べてみよう
 むしゃむしゃむしゃ
 まだ煮えない」

「あわぶくたったー煮え立ったー
 煮えたかどうだか食べてみよう
 むしゃむしゃむしゃ
 もう煮えた」

「戸棚にしまって 鍵をかけて ガチャガチャガチャ
 おうちに帰って、お布団ひいいて、
 ねーまーしょ!」

(トントントン)
 何の音?
(風の音)
 あーよかった♪

(トントントン)
 何の音?
(おばけの音...)
きゃーーーーーーー!!!

と騒いで、嫁は私を蹴りまくる。酔いがまわって楽しそうだが、もういらない。寝かせてくれ。