情弱と呼ばれて
2011年 科技 N氏「あ~、ヒラさん。情弱だね」
CEATEC JAPANを歩いているとき、N氏にそう指摘された。意味がわからなかったので訊ねると、「情報弱者」を略したスラングだった。本来は情報にアクセスする手段が少なかったり、情報を充分に活用できない者を差すコトバだが、パソコンやスマートフォンをうまく使えない人を揶揄するときにも使われるそうだ。
つまり私は、あるアプリを知らなかったことで小馬鹿にされ、おまけに小馬鹿にされたことにも気づかなかったわけだ。
「そんなコトバ、どこで覚えたの?」
「いろいろ。最近、ネットを巡回する時間が増えたからね」
「ほかにも覚えたコトバとか、ある?」
「んー、"おわコン"とか」
「なにそれ?」
「終わったコンテンツって意味。モーニング娘。はおわコンだ、とか、Perlはおわコンだ、とか。そんな風に使う」
「Perlってコンテンツなの?」
「コンテンツかどうか、終わってるかどうかは関係ないんだよ」
「......」
「ヒラさん、ネット漬けの人生なのに、知らないことが多いね。情弱だよ」
「ごめん」
まさかN氏の口からネットスラングを聞けるとは思わなかった。
N氏は私よりネット利用暦が長いが、掲示板など、下世話な情報からは距離を置いていた。2005年に私がmixiに夢中になったときも、「なにが楽しいの?」と肩をすくめた。
なのに最近は私より広くネットを巡回し、Facebookでガンガン情報発信している。そして「なにが楽しいの?」と肩をすくめる友人に、おもしろさを教えている。
......変われば変わるものだ。
それにつけても私は、モノを知ってるときも知らないときも小馬鹿にされているなぁ。