振り返ると、3Dテレビブームは虚しかった
2012年 科技 メディア規格 物欲
『アバター』の地上波初放送は、2Dだった。
『アバター』は3D映画の魅力を世間に知らしめた大ヒット超大作。全世界興行収入第1位を記録し、第82回アカデミー賞で9部門ノミネート、3部門を受賞している。なのに3D番組として放送されなかった。3Dテレビが普及していないからだ。
「アバターのような大迫力3D映像を、お茶の間でも見られますよ!」
「これからはアバターのような3D番組が増えます!」
「3D、いいよ、3D!」
なーんて宣伝されまくっていたのは2年前だ。忘れてしまったかもしれないが、2010年は「3Dテレビ元年」だった。地デジの切り替え前だったから、ちょっと高めの「3D対応モデル」を選んじゃった人も多いだろう。3Dテレビはエコポイント対象商品だったしね。
かくいう私も、ちらっと検討したことはある。だが、思いとどまった。危なかった。
不満の多い3Dテレビ
3Dテレビは惨敗だったようだ。売れなかっただけでなく、購入者の75%が不満を持っているという調査もある。理由は大きく3つ。
- 3Dメガネがうざい。
- 価格が高め。
- 3D番組が不足している。
まぁ、致命的に3だよね。
魅力的なコンテンツがあれば、1と2は解消される。プレイヤーより先に魅力的なコンテンツを作るべきだった。
いや、コンテンツはあった。『アバター』の公開は2009年だった。そして3D映画がどっと増えた。猫も杓子も3Dだった。3Dテレビの未来を予感したとしても無理はないだろう。
だが、『アバター』の地上波初放送は、2Dだった。
3Dテレビをもってる人は……そりゃ、もう、ガッカリしただろうな。
3D番組はちっとも増えなかったけど、それでも『アバター』だけは。3Dブームに火を付けた『アバター』だけは! そう思っていたのではないだろうか。
教訓。ブームを信じてはいけない。しかしブームのまっただ中で、それが一過性のブームであると見抜くのは難しい。油断するな。