おきゅうとは味がなかった

2012年 食べる 食べる
おきゅうとは味がなかった

海鮮物コーナーで、「おきゅうと」なるものを見つけた。

おきゅうとって、なんだ? 原材料は、天草(韓国産)、水、食酢、着色料(青1,黄4) 。150円。羊羹みたいな色と形。緑と茶色を混ぜたような、鶯(うぐいす)色と言えばいいのか。表面はざらつき、水を含んでいる。付属の酢味噌で食べるようだ。
島原で食べた「いぎりす」のようなものか? いや、中にはなにも入っていないようだ。ふむ、どんな味がするんだろう?

「海草の味よ」

となりにいたおばさんに教えられた。しまった。思ったことを口にしていた。妙な空気になったので、買ってきた。

家に帰って、皿に載せ、酢味噌をつけて食べる。
かすかに磯臭いが、不快なほどではない。弾力はなく、口の中で崩れていく。味は……ない。酢味噌の味しかしない。海草の味って、どんな味だ?
嫁は「苦手」の一言で箸を置いてしまったので、ほとんど私が食べた。ぱくぱく食べるが、とくにおいしいわけじゃない。ふーむ。

調べてみた。
おきゅうは、福岡県の一般家庭で親しまれている海藻加工食品。「お救人」、「浮太」、「沖独活」とも表記される。成分の96.5%が水分なので、栄養はないが、独特の食感が好まれているそうだ。うーん、食べ慣れてない私には、さっぱりわかんない味だった。

だが……私が食べたものは、おきゅうとだったのか?

おきゅうとの原材料はエゴノリ(えご草、おきゅうと草、真草)で、飴色をしているそうだ。天草で作られると緑色になるが、それは「ところてん」であって、おきゅうとではない。私は「ところてん」も食べ慣れてないから、似てるかどうかもわからない。おきゅうとは芥子醤油や酢醤油で食べるのが一般的で、酢味噌で食べる例は少なかった。ううーん。

わざわざ天草を輸入して、おきゅうとを作ったんだろうか? あるいは、天草が余っていて、ところてんを作るよりおきゅうとの方が売れると判断したのか?
うううーん。

おきゅうとは味がなかった。そして、無意味に悩ませる食品だった。