冷凍食品のトレードオフ

2012年 食べる 食べる
冷凍食品のトレードオフ

私は冷凍食品はあまり食べない。

明確な理由があるわけじゃなく、なんとなく避けてきた。なので、近ごろの冷凍食品の進化をまるで知らなかった。
昨年、なんとなく冷凍食品を買ってみたら、思いのほかうまかった。冷凍食品だから風味が落ちる、なんてことはなくて、レストランや総菜コーナーで売っているレベルと変わらない。いや、それもすべて冷凍食品だったのか。
しかも安い。長期保存もできる。すぐ調理できるから、あと一品足りないときに重宝する。

コロッケ、メンチ、白身フライ、フライドチキン、フライドポテト......。

うまいなぁ。安いなぁ。便利だなぁ。
揚げ物は、「なんとなく料理している感じ」がするから、手抜きした罪悪感もない。

しばらくすると、料理がおっくうになった。
たとえば、コロッケを食べたいと思っても、「冷凍食品の方が手軽で安いよ」と囁かれてしまう。しかし冷凍食品の味は画一的で、自分の好みと合致しないことがある。ぼんやり食べるときはいいけど、真剣に食べたいときは物足りないのだ。
そこで選択を迫られる。

  1. 自分の好みに応じて、手間をかける
  2. 自分の好みを放棄して、手間を省く

2の引力は馬鹿にならないほど強い。

また冷凍食品が増えると、食材を買わなくなる。
自分でコロッケを作っているときは、余った食材を適当に加えることができたが、冷凍食品は無理だ。すると、
「冷凍食品が残っているから、ジャガイモを買うのはやめましょう」
と考えるようになる。ますます依存度が高まる。やばい。

冷凍食品はうまくて、安くて、便利だが、「目に見えないもの」がトレードオフになる。
そこに価値を認める人は、依存度に注意しなければならない。